2025.01.28
現場報告
地方創生×Web3.0の可能性を探る「おさかなだお長崎」長崎県長崎市

Web3.0技術のオンラインコミュニティで地域創生を
まちあすが参加している地方創生への取り組みとして、長崎県長崎市ではWeb3.0技術を活用した施策が成果を上げています。地域の水産業振興を目的としたローカルDAOプロジェクト「おさかなだお長崎」です。
東急不動産ホールディングスとWeb3.0スタートアップのMeTown社が手を取り合い、長崎で、魚食の文化を盛り立てることを目的とした「おさかなだお長崎」を2024年2月にスタートしました。プロジェクト名の一部になっている「だお(DAO)」とは、Web3.0を形成するしくみのひとつ。Decentralized Autonomous Organizationの略で、明確な中央管理者を置かず、メンバーの自律的な意思決定によって運営される組織形態(分散型自律組織)を指します。
おさかなだお長崎では、長崎の魚のブランド力の向上、漁業の担い手不足や高齢化などの課題を抱える長崎の水産業に関心を持つ人々が匿名でオンラインコミュニティを形成し、さまざまな意見交換やイベントを企画して交流し、課題解決を目指します。メンバーは当初想定した100名を上回る応募者となり、111名でスタートしました。
企画を主導する東急不動産ホールディングス グループCX・イノベーション推進部デジタル戦略グループ課長補佐の岸野麻衣子さんは、プロジェクト立ち上げの背景をこう語ります。
「東急不動産ホールディングスグループでは、DXと環境を二本柱とする経営方針の元、不動産事業を通じた地域活性化に取り組んでいます。一方、MeTownさんは、北海道夕張市でのオンラインコミュニティ構築の実績があり、地域活性化についての問題意識が合致したため、一緒にWeb3.0の可能性を地方創生に生かす実証実験に取り組むこととなりました」
MeTownの代表取締役、田中一弘さんは、プロジェクトへの思いを、こう語ります。
「私たちは、北海道夕張市での経験から、ブロックチェーン技術を使った地域共創コミュニティでは、従来のオンラインコミュニティよりも、おもしろいことができると気づきました。
DAOのコミュニティでは、メンバーが自律的に活動し、それぞれがプロジェクトを立ち上げたり、ミーティングや意思決定などをし、その貢献に応じて報酬を得られるしくみをつくることができます。そんなDAOの特性をより生かした新しいコミュニティのあり方を長崎で実践し、さらに進化させていきたいと考えています」
東急不動産ホールディングスとWeb3.0スタートアップのMeTown社が手を取り合い、長崎で、魚食の文化を盛り立てることを目的とした「おさかなだお長崎」を2024年2月にスタートしました。プロジェクト名の一部になっている「だお(DAO)」とは、Web3.0を形成するしくみのひとつ。Decentralized Autonomous Organizationの略で、明確な中央管理者を置かず、メンバーの自律的な意思決定によって運営される組織形態(分散型自律組織)を指します。
おさかなだお長崎では、長崎の魚のブランド力の向上、漁業の担い手不足や高齢化などの課題を抱える長崎の水産業に関心を持つ人々が匿名でオンラインコミュニティを形成し、さまざまな意見交換やイベントを企画して交流し、課題解決を目指します。メンバーは当初想定した100名を上回る応募者となり、111名でスタートしました。
企画を主導する東急不動産ホールディングス グループCX・イノベーション推進部デジタル戦略グループ課長補佐の岸野麻衣子さんは、プロジェクト立ち上げの背景をこう語ります。
「東急不動産ホールディングスグループでは、DXと環境を二本柱とする経営方針の元、不動産事業を通じた地域活性化に取り組んでいます。一方、MeTownさんは、北海道夕張市でのオンラインコミュニティ構築の実績があり、地域活性化についての問題意識が合致したため、一緒にWeb3.0の可能性を地方創生に生かす実証実験に取り組むこととなりました」
MeTownの代表取締役、田中一弘さんは、プロジェクトへの思いを、こう語ります。
「私たちは、北海道夕張市での経験から、ブロックチェーン技術を使った地域共創コミュニティでは、従来のオンラインコミュニティよりも、おもしろいことができると気づきました。
DAOのコミュニティでは、メンバーが自律的に活動し、それぞれがプロジェクトを立ち上げたり、ミーティングや意思決定などをし、その貢献に応じて報酬を得られるしくみをつくることができます。そんなDAOの特性をより生かした新しいコミュニティのあり方を長崎で実践し、さらに進化させていきたいと考えています」
DAOツール「Unyte」が支えるコミュニティ運営
おさかなだお長崎では、メンバー間の交流にDAOツール「Unyte(ユナイト)」を活用しています。メンバーは、オンライン上で提案や投票を行い、プロジェクトの方向性を自律的に決定していきます。2024年2月のキックオフイベントでは、メンバーによる投票で会員証(NFT)のロゴデザインが決定するなど、早くもDAOらしい運営が実践されました。

その後、メンバーは、長崎の水産業について学ぶイベントや、県外メンバーによる長崎の漁業関係の現場を見学するツアーなどを通じて、地域理解を深めています。

個々の貢献度は、Unyte上で可視化・評価され、NFT(非代替性トークン)で報酬が付与されるしくみです。NFTは、提携する店舗で食事をしたり買い物をしたりと、コミュニティ内通貨として用いることができます。こうした活動を通じて、全国各地のメンバーと地元関係者とのネットワークも徐々に広がりつつあります。
一方で、全体の2割程度と高い比率の積極的な参加者をさらに増やす、NFTによるインセンティブ設計をどう改善するかなど、エンゲージメント向上に向けた次なる課題もあります。田中さんは「NFTには、従来のお金によるインセンティブとは異なる、新しい価値交換のしくみをつくることが求められています。体験型のユニークな特典など、NFTの使い道を工夫することで、もっと多くのメンバーに活躍してもらえるはずです。メンバーひとりひとりが主体的に参加できる場をつくることが、私たちの目標です」と説明します。
一方で、全体の2割程度と高い比率の積極的な参加者をさらに増やす、NFTによるインセンティブ設計をどう改善するかなど、エンゲージメント向上に向けた次なる課題もあります。田中さんは「NFTには、従来のお金によるインセンティブとは異なる、新しい価値交換のしくみをつくることが求められています。体験型のユニークな特典など、NFTの使い道を工夫することで、もっと多くのメンバーに活躍してもらえるはずです。メンバーひとりひとりが主体的に参加できる場をつくることが、私たちの目標です」と説明します。
行政との連携でリアルな交流の拡大を目指す
おさかなだお長崎は、メンバーの自発的な企画提案と実行などの活発な活動のおかげで、2024年8月、長崎創生プロジェクト事業認定制度の第84号事業にも認定され、行政からも大きく期待されています。

岸野さんは、プロジェクトの今後の展開について、「将来的には、地域貢献人材の可視化と評価のしくみを確立し、他地域への展開や地域間連携も視野に入れています。たとえば、ふるさと渋谷フェスティバルでの渋谷区不動通商店街さまとの共同出店は、オンラインで生まれた縁をリアルな交流へと昇華させる象徴的な取り組みです。都市部の人々に長崎の魅力を発信し、関係人口の拡大につなげていきたいですね」と、語ります。

田中さんはプロジェクトの可能性について、「おさかなだお長崎の活動を通じて、〝地域貢献のプロフィール〟ともいえるものが生まれつつあります。将来的には、世界各地の地域貢献人材がブロックチェーン上でつながり、国境を越えた活躍の場を得られるようになるかもしれません。そんな未来を、ここ長崎の地から切り拓いていきたいと考えています」と、地域創生プラットフォームとしてのDAOコミュニティの成長に期待を寄せています。
Web3.0の力を活用して地域と個人をつなぐしくみを構築した、おさかなだお長崎は、これまでにない地域活性化の道筋を新たに示しています。このプロジェクトを通じて蓄積されたノウハウは、間違いなく地方創生とWeb3.0の融合による新たな地域創生モデルの提言につながることでしょう。
Web3.0の力を活用して地域と個人をつなぐしくみを構築した、おさかなだお長崎は、これまでにない地域活性化の道筋を新たに示しています。このプロジェクトを通じて蓄積されたノウハウは、間違いなく地方創生とWeb3.0の融合による新たな地域創生モデルの提言につながることでしょう。