これがまちあすの考える地方創生(7)

環境まちづくり支援機構(まちあす)の考える〝持続可能なまちづくり〟とは、どんなものなのか?
地域の魅力や活力を高めるためになにができるのか?
まちあすの思い描く地方創生の未来図を、ご説明します。

7.まちあす式地方創生の未来

「まちあす式地方創生」の効用

魅力的な観光資源を持つ一部のまちを除けば、人口が1万人以下で、衰退の一途をたどる「地方」では、自立できる経済基盤を築くことは、簡単なことではありません。
東京と連携したサブシステムをきっかけにして、継続的に関係人口を創出・拡大するしくみができれば、地域活動に参加する「新しい目」が、地域の魅力を再発見して編集・発信してくれるかもしれません。
人は他人の視線を意識することで、身だしなみにも気を遣うようになります。
地方も同様で、新しい目に晒されることを通じて、自分たちの潜在能力に改めて気づき、「ブラッシュアップする意識」も芽生えるのではないでしょうか?
東京と連携したサブシステムによる地方創生は、ゴールではなくスタートなのです。
長らく東京で働いてきた人にとって、人生100年時代を迎えた今、定年後の数十年を東京郊外の住宅地で過ごす、というのは、はたして最良の選択肢なのでしょうか?
ワープステイなどを活用することによって、5年ごとに、農村や漁村などに移り住んで、新しいライフスタイルで暮らす人生も、悪くないのではないでしょうか?
新しい環境と人間関係のなかで、心機一転、無理のない範囲で生業をしながら、暮らし直すのも、また充実した人生になるではないでしょうか?
子供や孫たちも、「新しい帰省先」として、喜んで遊びに来てくれるはずです。

一方で、若者が企業に求める価値は、「収入」だけでなく、どれだけ自分に成長機会を提供してくれるかに移りつつあるようです。東京のビル群のなかでオフィスワークをするだけにとどまらず、地方と連携することで、地域の課題に取り組みながら、自然や、今まで触れてこなかった伝統文化を知ることは、貴重な成長機会になるのではないでしょうか?
若者の東京一極集中がさらに続くと、東京が生まれ故郷という人ばかりになってしまいます。
東京の人工的な環境での画一的な体験と、受験偏重の教育制度で育った子供たちばかりがつくる未来とは、いったいどんなものでしょうか?
都市と地方とが「対になる」ことによって、生活に潤いと個性が生まれると、この国には、すばらしい可能性が拓けます。
地方留学を体験し、生きる力を養い、成長することを通じて、その場所が「新しい故郷」として記憶に刻まれ、その人の人生は彩り豊かなものとなるのです。
海士町の「島親さん」のように、新しい関係の「おじいちゃん」や「おばあちゃん」が生まれるかもしれません。

「まちあす式地方創生」の未来

DXの発展により、気軽な移動体験プラットフォームが広がりを見せています。
住居のサブスクサービスが立ち上がり、西日本では交通事業者と連携する先進的な展開も、始まっています。首都圏の都心と観光地とを結ぶ鉄道沿線上で、サブスク方式の拠点を持つことができると、非常に魅力的な新しいライフスタイルが期待できます。国内のクリエイティブな人材だけでなく「2〜3年であれば日本で仕事しながら、いろいろな体験をしてみたい」というグローバル人材を海外から招き入れることもできるでしょう。「現代版の参勤交代」とも言えるサブスク居住システムは、首都圏ワーカーにリタイア後の居住地の選択肢を提供するだけでなく、地方のさまざまな魅力を実感してもらい、新しいライフスタイルとして、国内外から多彩な利用者を招き入れるプラットフォームにもなることでしょう。

東京、大阪など都市部への人口集中は、サラリーマン化の進行により、職の固定化と居住地の固定化が進んだことが大きな要因です。
また日本では「一所懸命」ということばが表すように、一か所に定住し、骨を埋めることが「善」という風潮があります。
こうした島国的固定観念が、保守的なしがらみとなり、変化への抵抗感につながっているのではないでしょうか?
こうした流れを変えていくためにも、「関係人口」という柔軟性や曖昧さが武器となるのです。
「関係人口」には、〝曖昧さ〟、〝ゆるさ〟があるからこそ、可能性が生まれます。ゆるいからこそ「曖昧な6割の人」を惹きつけることができます。
職と居住地の固定化を開放し、働き方や暮らし方のクリエイティビティを体現するためには、仕事や暮らしの多様性が有効です。
地方と都市を、生活者や企業が選択し、使い分けしながら活動していくことが、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上につながると、私たちは考えます。

「まちあす式地方創生」は、地域間競争ではなく、地方と都市の連携のなかで、都会での生活を見直し、都会人の人生に潤いと張りを付加し、かつ地方に活力を与えるというプラットフォームなのです。
 まちあすは、地域に人が交流し、つながる仕組みを考え、提供することで、「都市人生」が豊かに広がり、新たな刺激を受けて「地方の魅力」がさらに輝いてくる、そのような地方創生を考えていきたいと強く願っています。
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