2025.06.01
まちあす地方創生宣言
これがまちあすの考える地方創生(2)
環境まちづくり支援機構(まちあす)の考える〝持続可能なまちづくり〟とは、どんなものなのか?
地域の魅力や活力を高めるためになにができるのか?
まちあすの思い描く地方創生の未来図を、ご説明します。
地域の魅力や活力を高めるためになにができるのか?
まちあすの思い描く地方創生の未来図を、ご説明します。
2.基本認識
地方創生施策の現在地
「地方創生」とは、2014年に策定された国のビジョンと総合戦略に基づき、すべての都道府県と市区町村において策定された人口ビジョンと総合戦略です。
今ではバズワードになった「地方創生」ですが、「地方創生」とは、元々は2014年に施行された「まち・ひと・しごと創生法」に基づく、施策パッケージのことを指していました。
この施策パッケージの目的は、「少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施する」とされています。
第1期総合戦略のなかでは「2060年に1億人程度の人口を維持する」という長期ビジョンに向けて、次の4つの基本目標を掲げています。
1.地方における安定した雇用を創出する。
2.地方への新しいひとの流れをつくる。
3.若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる。
4.時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する。
この4つの基本目標を達成するため、国は「地方創生版・三本の矢」で支援しています。
(1)情報支援の矢:地域の人口動向や産業構造、人の流れなどに関するビッグデータを集約可視化したRESAS(リーサス:地域経済分析システム)を運用。
(2)人材支援の矢:デジタル分野を中心に、国家公務員、大学研究者、民間企業社員などの専門的な知見を有する人材を、市町村長の補佐役として派遣。
(3)財政支援の矢:地方創生推進交付金として1000億円規模の予算を確保、企業版ふるさと納税などを推進。
今ではバズワードになった「地方創生」ですが、「地方創生」とは、元々は2014年に施行された「まち・ひと・しごと創生法」に基づく、施策パッケージのことを指していました。
この施策パッケージの目的は、「少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために、まち・ひと・しごと創生に関する施策を総合的かつ計画的に実施する」とされています。
第1期総合戦略のなかでは「2060年に1億人程度の人口を維持する」という長期ビジョンに向けて、次の4つの基本目標を掲げています。
1.地方における安定した雇用を創出する。
2.地方への新しいひとの流れをつくる。
3.若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる。
4.時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する。
この4つの基本目標を達成するため、国は「地方創生版・三本の矢」で支援しています。
(1)情報支援の矢:地域の人口動向や産業構造、人の流れなどに関するビッグデータを集約可視化したRESAS(リーサス:地域経済分析システム)を運用。
(2)人材支援の矢:デジタル分野を中心に、国家公務員、大学研究者、民間企業社員などの専門的な知見を有する人材を、市町村長の補佐役として派遣。
(3)財政支援の矢:地方創生推進交付金として1000億円規模の予算を確保、企業版ふるさと納税などを推進。
第2期での軌道修正
020年から始まる第2期では、第1期の枠組みを維持しつつ、「地方への新しい人の流れをつくる」取り組みとして、「関係人口」の創出・拡大を提唱しています。また、東京一極集中の大きな要因である「東京圏への若年女性の転出」への
対応として、地方の若年女性にとって魅力ある雇用の場の創出を重視しています。
さらに地方と東京との連携や、既存の行政区域単位にとらわれず、複数の市町村からなる「圏域」での施策展開が強調されています。
対応として、地方の若年女性にとって魅力ある雇用の場の創出を重視しています。
さらに地方と東京との連携や、既存の行政区域単位にとらわれず、複数の市町村からなる「圏域」での施策展開が強調されています。
地方創生の実績・成果
地方創生のために、国はさまざまな施策を進めています。主なものを見てみましょう。
(1)地域おこし協力隊
地域おこし協力隊とは、「お試し移住」的な制度です。他地域の人材が当該自治体から任命され、地域ブランドやPR、農林水産業従事などの地域協力活動を行い、報酬を得ます。
任期は1年以上3年以内で、1,176団体、7,910人(2024年度)が活動しています。
政府は2026年度までに、これを1万人に増やす目標を掲げています。
地域おこし協力隊は任期終了後も、その約70%が、同じ地域に定住しています。
(2)政府機関の地方移転
文化庁の全面的な京都移転、消費者庁の一部機関の徳島移転が代表的ですが、現在、中央省庁の7機関、研究機関・研修機関の23機関で地方移転が決定しています。
(3)東京23区の大学の定員抑制
地方大学の経営悪化を防ぐ目的で、政府は2028年までの時限措置として、東京23区内の大学の定員増を認めない方針を閣議決定しています。
(4)地域経済分析システムの稼働
地域経済に関わる各種のデータを可視化するため、RESAS(地域経済分析システム)が開発され、出前講座、政策立案ワークショップなど、多様な取り組みが行われています。
(5)交付金の活用
2024年度のデジタル田園都市国家構想総合戦略関係予算は8兆円を超えており、そのうちデジタル田園都市国家構想交付金は1735億円となっています。
しかしながら予算消化率はあまり高くないようで、交付金を、うまく活用している自治体と、あまり活用できていない自治体との地域間格差が、顕著になってきています。
(1)地域おこし協力隊
地域おこし協力隊とは、「お試し移住」的な制度です。他地域の人材が当該自治体から任命され、地域ブランドやPR、農林水産業従事などの地域協力活動を行い、報酬を得ます。
任期は1年以上3年以内で、1,176団体、7,910人(2024年度)が活動しています。
政府は2026年度までに、これを1万人に増やす目標を掲げています。
地域おこし協力隊は任期終了後も、その約70%が、同じ地域に定住しています。
(2)政府機関の地方移転
文化庁の全面的な京都移転、消費者庁の一部機関の徳島移転が代表的ですが、現在、中央省庁の7機関、研究機関・研修機関の23機関で地方移転が決定しています。
(3)東京23区の大学の定員抑制
地方大学の経営悪化を防ぐ目的で、政府は2028年までの時限措置として、東京23区内の大学の定員増を認めない方針を閣議決定しています。
(4)地域経済分析システムの稼働
地域経済に関わる各種のデータを可視化するため、RESAS(地域経済分析システム)が開発され、出前講座、政策立案ワークショップなど、多様な取り組みが行われています。
(5)交付金の活用
2024年度のデジタル田園都市国家構想総合戦略関係予算は8兆円を超えており、そのうちデジタル田園都市国家構想交付金は1735億円となっています。
しかしながら予算消化率はあまり高くないようで、交付金を、うまく活用している自治体と、あまり活用できていない自治体との地域間格差が、顕著になってきています。
東京一極集中の継続
国がさまざまな施策を進めても、なお、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の転入超過数は、2014年以降は11万〜15万人で推移し、コロナ禍で一時減少しましたが、2023年には12.7万人と以前の水準に戻りつつあります。転入抑制は難しく、一極集中が依然として続いています。その一方で日本全体の人口減少は止まりません。
日本の総人口は、2008年の1億2808万人をピークに、2023年は1億2435万人となっています。これが、2056年には1億人を割り、2070年には8700万人まで減少すると予想されています(2023年 国立社会保障・人口問題研究所)。
生産年齢人口(15〜64歳)も、2014年の地方創生政策施行時に7785万人だったのが、2023年には7395万人(390万人の減少)となっています。
出生数はさらに厳しく、2014年の約100万人から、2023年は約72万人へと28%も減少しています。
日本の総人口は、2008年の1億2808万人をピークに、2023年は1億2435万人となっています。これが、2056年には1億人を割り、2070年には8700万人まで減少すると予想されています(2023年 国立社会保障・人口問題研究所)。
生産年齢人口(15〜64歳)も、2014年の地方創生政策施行時に7785万人だったのが、2023年には7395万人(390万人の減少)となっています。
出生数はさらに厳しく、2014年の約100万人から、2023年は約72万人へと28%も減少しています。
今後の見通し
国が進めた施策の実績は、ある程度あるものの、人口減少・少子高齢化及び東京圏への一極集中には、歯止めがかからない状況と言うことができます。
地方創生がスタートして約10年、政府のさまざまな支援策が整備されたにもかかわらず、状況はさらに悪化しているのです。
2023年からは、デジタル技術の活用によって「全国どこでもだれでもが便利で快適に暮らせる社会」を目指す「デジタル田園都市国家構想」の取り組みが
始まっています。
これは新たにデジタルの力を活用して地方創生を加速化・深化させていく取り組みであり、2024年度は多額な予算が組まれています。
ただ、今までの10年間の進捗を考えると、地方創生への効果が期待どおりに現れるかどうかは未知数です。
地方創生がスタートして約10年、政府のさまざまな支援策が整備されたにもかかわらず、状況はさらに悪化しているのです。
2023年からは、デジタル技術の活用によって「全国どこでもだれでもが便利で快適に暮らせる社会」を目指す「デジタル田園都市国家構想」の取り組みが
始まっています。
これは新たにデジタルの力を活用して地方創生を加速化・深化させていく取り組みであり、2024年度は多額な予算が組まれています。
ただ、今までの10年間の進捗を考えると、地方創生への効果が期待どおりに現れるかどうかは未知数です。
予算も人員も手一杯
高齢化・過疎化が進む地方自治体では、予算はもちろん、職員、経験、情報のいずれもが不足しており、地方創生に向けた施策を立案し実施に移すことは、極めて困難な状況にあります。
右肩上がりの成長社会では、毎年の予算も職員も増え、公共施設建設やインフラ整備など、住民から評価を得られやすい施策が中心に行われますが、人口減少を前提とした成熟社会では、これと真逆になります。公共サービス業務は増加の一方、予算の減少に伴い職員の数は減らされ、現在抱えている案件だけで手一杯というのが実情です。
右肩上がりの成長社会では、毎年の予算も職員も増え、公共施設建設やインフラ整備など、住民から評価を得られやすい施策が中心に行われますが、人口減少を前提とした成熟社会では、これと真逆になります。公共サービス業務は増加の一方、予算の減少に伴い職員の数は減らされ、現在抱えている案件だけで手一杯というのが実情です。
住民理解が難しい
人口減少社会における地方創生案件は、住民の理解と協力を得るまでが、ひと苦労です。教育の充実や、病院や図書館等の公共施設をつくるのであれば、住民の賛同を得やすいのですが、移住促進や関係人口を増やそうとなると、みんなが賛同してはくれません。いざとなると「住んでいる我々のための施設やサービスにお金をかけるべきだ」と、なってしまいます。
さらに「移住者とのトラブルの責任は、だれが取るんだ?」といった批判も出てきます。
地方創生案件は、手間がかかる一方、成果が出るまでに時間がかかり、実績が見えづらく「苦労が多いわりに報われない仕事」といえます。
さらに「移住者とのトラブルの責任は、だれが取るんだ?」といった批判も出てきます。
地方創生案件は、手間がかかる一方、成果が出るまでに時間がかかり、実績が見えづらく「苦労が多いわりに報われない仕事」といえます。
属人的な成功と同調圧力
とはいうものの、地方創生の成功事例もかなり増えてはきました。
成功事例としてよく挙げられるのが、北海道東川町の「写真の町」、長野県阿智村の「日本一の星空の村」、岡山県西粟倉村の「百年の森林(もり)構想」、島根県海士(あま)町の「島留学」、徳島県神山町の「高速ブロードバンド環境」、などです。
いずれの事例にも共通しているのが、「やる気のある個人」を起点にしている点です。地方創生ではいかにやる気のある個人を持続的にサポートできるか、にかかっています。
また、やる気のある個人は、地元の生え抜きではなく、むしろ外部からの転入者、あるいは外部を経験したUターン人材の場合が多いようです。
地方創生の担い手には、よそ者、若者、馬鹿者が必要としばしば言われます。
外部からの視点で見ることによって、「まちのあたりまえ素材」を「魅力素材」として発見することができるという要因があるのですが、それに加えて「(よそから来た)あの人がやるのは仕方ない。あの人は特別だから、まあよいか」となることも関係しているでしょう。
成功事例としてよく挙げられるのが、北海道東川町の「写真の町」、長野県阿智村の「日本一の星空の村」、岡山県西粟倉村の「百年の森林(もり)構想」、島根県海士(あま)町の「島留学」、徳島県神山町の「高速ブロードバンド環境」、などです。
いずれの事例にも共通しているのが、「やる気のある個人」を起点にしている点です。地方創生ではいかにやる気のある個人を持続的にサポートできるか、にかかっています。
また、やる気のある個人は、地元の生え抜きではなく、むしろ外部からの転入者、あるいは外部を経験したUターン人材の場合が多いようです。
地方創生の担い手には、よそ者、若者、馬鹿者が必要としばしば言われます。
外部からの視点で見ることによって、「まちのあたりまえ素材」を「魅力素材」として発見することができるという要因があるのですが、それに加えて「(よそから来た)あの人がやるのは仕方ない。あの人は特別だから、まあよいか」となることも関係しているでしょう。
地域支援の距離感
では、よそ者が手がける地方創生には、どのような注意点が必要なのでしょうか? 私たちの経験則は、以下のようなものです。
(1)よそ者の立場をわきまえる
まちあすの活動拠点のひとつである北海道松前町では、東急不動産と連携して地域活動や活性化提案を行っています。松前町には東急不動産の事業所と東急不動産が展開する地域共生取り組みの活動拠点、『TENOHA(テノハ)松前』があります。
東急不動産社員は、松前町で生活し、地域の活動に参加し、地域の方々に受け入れていただくなかで、風力発電事業を進めています。
そうした東急不動産社員とともに活動することで、地域と深いつながりを築きつつ、地域の課題やニーズを把握していきます。
このようにまちあすは、地域に寄り添った活動を信念としていますが、残念ながら「地域の当事者」ではありません。まちあすの基本的な立ち位置は、「地方と都市とをつなぐ橋渡し役」であると考えています。
(1)よそ者の立場をわきまえる
まちあすの活動拠点のひとつである北海道松前町では、東急不動産と連携して地域活動や活性化提案を行っています。松前町には東急不動産の事業所と東急不動産が展開する地域共生取り組みの活動拠点、『TENOHA(テノハ)松前』があります。
東急不動産社員は、松前町で生活し、地域の活動に参加し、地域の方々に受け入れていただくなかで、風力発電事業を進めています。
そうした東急不動産社員とともに活動することで、地域と深いつながりを築きつつ、地域の課題やニーズを把握していきます。
このようにまちあすは、地域に寄り添った活動を信念としていますが、残念ながら「地域の当事者」ではありません。まちあすの基本的な立ち位置は、「地方と都市とをつなぐ橋渡し役」であると考えています。

(2)伴走支援
地方自治体は、予算、人員共に手一杯です。そのうえ人口減少と高齢化が進む地域では、やる気がある個人は出現しにくく、それを自治体が継続的にサポートしていくことも難しいようです。
私たちまちあすは、単なる提案やアドバイスだけでなく、その実践のためにネットワークを活かして都市と連携し、「ヒト・カネ・情報」の注入を促したいと思っています。「よそ者」である立場を活用して、地方創生活動の伴走支援を行っていきたいと考えています。
地方自治体は、予算、人員共に手一杯です。そのうえ人口減少と高齢化が進む地域では、やる気がある個人は出現しにくく、それを自治体が継続的にサポートしていくことも難しいようです。
私たちまちあすは、単なる提案やアドバイスだけでなく、その実践のためにネットワークを活かして都市と連携し、「ヒト・カネ・情報」の注入を促したいと思っています。「よそ者」である立場を活用して、地方創生活動の伴走支援を行っていきたいと考えています。
横展開できる「しくみ化」
地域により、背景も状況も未来観も異なる地方創生では、事業モデル化やマニュアル化、ノウハウの蓄積は難しく、横展開していくためには、さまざまな試行錯誤と工夫が必要となります。まちあすでは、横展開を可能とする実践的な成功事例をつくり、事業モデル化し、他のエリアでも活用可能な、「しくみ化(プラットフォーム化)」にチャレンジしてまいります。
「地方と都市との二極連携」という、まちあすならではの立ち位置と体制とを活かした、いわば「まちあす式地方創生」を模索していきたいと考えています。
「地方と都市との二極連携」という、まちあすならではの立ち位置と体制とを活かした、いわば「まちあす式地方創生」を模索していきたいと考えています。