DXは地方創生にどのように活用できるのか ②(ファンコミュニティ形成)

 ブロックチェーン技術は、ビットコインなど仮想通貨で知られるようになりましたが、NFTアートを一般人が創作・販売できるようになったのもブロックチェーン技術のおかげです。また、地方創生分野においてここ数年、頭角を現してきたDAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)もブロックチェーン技術の上に成り立っています。
 ビットコインが「中央銀行に管理されていない通貨」であるように、DAOは「中央集権的な管理者がいない組織」です。「他人にあれこれ指図されるのではなく、フラットな関係のメンバーが自律的に活動することができ」、しかも、「偽造不可能なNFT会員証を保有していることがメンバーの証なので、匿名性を保ちながら活動することも可能」といった点から、特に若者世代から好意的に受け入れられているようです。

 最近、地方創生分野でDAOが期待されるようになったのは、「DAOが地域内外の多様な人材を繋いでファンコミュニティを形成するパワーを持っているから」です。前回コラムで長岡市の旧山古志村地域では、「(NFTアート)購入者が『デジタル村民』となって地域住民と交流できる」と書きましたが、これはファンコミュニティ形成の可能性を感じさせるものでした。

 ファンコミュニティの重要性については、当社団のまちづくり勉強会(講師:小野裕之氏)でも紹介しています(➡社団HP「勉強会」参照)。DAOを使った例ではありませんが、「2-2. 小伝馬町と秋田県を結ぶおにぎり店」では、東京日本橋の秋田米のおにぎり店を、若手の就農者や農業系ベンチャーの方々などとアイデアを出し合って魅力的な空間にしたことで、秋田に興味を持つ人々が集まるようになり、その中から秋田を訪れてみようという人も現れました。また、「4-1-2. 地域文化のコンテンツメーカーを目指す」でも、男鹿の醸造所のお酒の顧客(ファン)に、商品の背景となるストーリーまで伝えることで、年に1~2回、男鹿に来てもらえるよう工夫を凝らしています。ファンと交流することで地域の人々も刺激を受けて、新しい取組が生まれるようになればそれが活性化の起点になるかもしれません。

 次回は、Web3.0のDAOによるファンコミュニティ形成は、これまでと何が違うのかについて、DAOに関与している体験も踏まえながらもう少しお話しさせていただきたいと思います。

                                               (くまさん)