再エネルギー事業と地域の共生②

2-2.四つの事業コンセプト

お陰さまで、2022年6月に観光農園『さがみこベリーガーデン』をオープンできました。
現在、ブルーベリーは36種類植えています。
下写真は、私の掌に乗せたブルーベリーです。500円玉ぐらいの大粒のブルーベリーがいっぱい取れるんですよ。私の手は普通の人より大きいので、実が大きいことがお分かりいただけるかと思います。
収穫体験は、入り口で受け付け後、自由に摘み取っていただくスタイルです。
来園客は、22年の夏は約500人、23年の夏は倍の約1000人でした。
タルト生地を用意しておいて、摘んだブルーベリーをその場でトッピングして食べてもらったりと、工夫を凝らしたおもてなしで楽しんでいただいてます。
ほかに、授粉のための養蜂もしているので、蜂蜜販売はもちろんのこと、蜂蜜搾りや蜂蜜を使ったスムージー作りの体験も好評でした。

『さがみこベリーガーデン』の事業コンセプトは四つです。
一つ目は「食とエネルギーの地域生産」
現在、消費電力量は300KW(キロワット)弱。
あまり多くありませんが、FIT(固定価格買取制度)売電で、発電所をPPA(太陽光発電設備の無償設置)で二つ作り、約2年間で2MW(メガワット)くらいまで拡大しようと進めています。
二つ目は「未来志向の栽培方法」
うちのブルーベリーはポット栽培しています。
養液栽培で早期収穫でき、品質も安定して省力化を図れます。
「そんなもの地面に植えればいいじゃないか」という声も当然ありましたが、私たちは素人だったので、地植えで育てる自信がなかった。
農業事業として成り立たせるには〝品質と安定生産〟が必要です。
いろいろ調べたら、自動車部品メーカーのデンソーを退職後、独力で観光農園を始めて成功された方が愛知県にいらっしゃって、お訪ねしたら、この方法だったのです。
ちょうど弊社にもメーカー出身の技術者や生産管理経験者がいたため、リソースが生かせそうだったので「これなら自分たちでも手が届くかもしれない」と決断しました。

三つ目は「多様な雇用の創出」
おかげさまで、これも実現できました。
半工業的な農業をしているので「脱職人化」につながる。
つまり、だれでも関われる。いろんな人に働いていただいてます。
地域のママさんが子連れで仕事(左)、農業志望の高校生インターン(右)
地域のママさんが子連れで仕事(左)、農業志望の高校生インターン(右)
中山間地で、いきなりたくさんの雇用を生み出すことは難しいです。
急に「近隣の集落からフルタイムで300人の雇用を生み出そう」などと考えると、ものすごくハードルが高くなってしまいます。
でも地域にはいろんな人がいて、たとえば、仲間とおしゃべりしながら楽しく体を動かして、お小遣いを稼げるくらい働きたい、というシニア女性が、けっこういらっしゃる。そういう人に、朝の収穫をお願いしています。

また、子育て中のママさんで、保育園にお子さんを預けた後、2時間ほどだけ働きたいとご希望の方がいらっしゃる。
そうすると、シニアの方の朝摘みブルーベリーを、お子さんを預けたママさんたちが選別して箱に詰めて出荷する連携作業が成立しました。
シニアの方々を「おばちゃん収穫隊」、ママさんたちを「ママ選別隊」と呼んでいます(笑)。どちらも今や弊社の必須戦力です。
弊社は「子連れ勤務OK」ですから、ママさんたちから「すごく助かります」と感謝されています。

弊社は障がい者のB型就労支援事務所と提携しており、週20時間以下の非雇用型就労で、たとえば農園の掃除、草取り、ジャムやソースの加工品製造などの軽作業を、障がい者の方にしてもらっています。
これが、四つ目の「農業の6次化へのチャレンジ」に関わる人材です。
今後も収穫体験だけでなく、作物の加工にも注力し、新商品の開発に取り組んでいきます。
多様な雇用は、個人に合った働き方、生きがい、やりがいの場の提供につながる。規模は大きくなくても、ニーズにあった働ける場を作ることは非常に大事だな、と実感しています。