2024.08.26
勉強会
これが「デジタル田園都市国家構想」 その④
4.内閣官房が主体の支援策
地方創生の具体的な施策は、多くの場合、所管する各省庁が実施しますが、複数の政策分野を横断するような施策については、内閣官房あるいは内閣府が実施しています。以下では、私が所属しておりました内閣官房が主体となって実施していた支援策を、いくつかご紹介しましょう。
4-1.デジタル田園都市国家構想交付金
まず、デジタル田園都市国家構想交付金です。
以前は、頭に「地方創生」を付けたいくつかの名称で呼ばれており、平成28年からずっと、当初予算で1000億円、補正予算で約600億~800億円をいただいていました。令和5年度予算からデジタル田園都市国家構想交付金の名称に統一されており、令和6年度当初予算で1000億円、令和5年度補正予算で735億円が措置されています。
以前は、頭に「地方創生」を付けたいくつかの名称で呼ばれており、平成28年からずっと、当初予算で1000億円、補正予算で約600億~800億円をいただいていました。令和5年度予算からデジタル田園都市国家構想交付金の名称に統一されており、令和6年度当初予算で1000億円、令和5年度補正予算で735億円が措置されています。

デジタル田園都市国家構想交付金は、大きく4つのタイプに分かれ、それぞれにまたいくつかのタイプ分けがあります。主なものだけ、御説明します。

■デジタル実装タイプ(TYPE1/2/3/S)
まず、デジタル田園都市国家構想に基づいて、新しく創設されたのが「デジタル実装タイプ」です。これは、まさにデジタル実装の経費そのものを支援するものです。
まず、デジタル田園都市国家構想に基づいて、新しく創設されたのが「デジタル実装タイプ」です。これは、まさにデジタル実装の経費そのものを支援するものです。

上図の左側のピラミッドをご覧ください。一番下のTYPE1から一番上のTYPESまで、上にいくにつれ、高度な内容になります。
一番下の「優良モデル導入支援型(TYPE1)」が特徴的なので、少しご説明します。これは、地域の独自性は必要なく、すでにどこかの自治体が導入している取り組みのカタログの中から、自分たちの地域の課題に合うものを導入する場合、いわば横展開する場合に、その経費の2分の1が補助されるという仕組みです。たとえば、自治体の「書かない窓口」「地域アプリ」「遠隔医療」など、様々な取り組みが対象になります。
このデジタル実装タイプのバリエーションとして、「地方創生テレワーク型」もあります。地方でのサテライトオフィス整備や、都市部企業の当該オフィス利用、進出企業と地元企業の連携事業などを支援対象とするものです。
■地方創生推進タイプ/地方創生拠点整備タイプ
「地方創生推進タイプ」と「地方創生拠点整備タイプ」は、以前はそれぞれ単独の交付金でしたが、デジタル田園都市国家構想交付金の2つのタイプとして、概ねそのまま維持されました。
「地方創生推進タイプ」は、自治体の創意工夫を生かしたソフトな取り組みに対して、最長5年にわたり、経費の2分の1を補助するものです。分野は限定していません。将来自立できる取り組みか、官民協働や地域間連携がなされているか、などを評価して支援対象を決めます。
「地方創生拠点整備タイプ」は、ハード施設の整備に対し、2分の1補助するものです。以前は、自治体自らが整備する場合に限定されていましたが、令和4年度から民間事業者による施設整備を自治体が補助する場合も、補助対象になりました。例えば、移住や二地域居住のための住宅、シェアハウス、コミュニティセンター、地域の伝統文化の体験施設などを民間事業者が整備する場合に、自治体の補助経費の2分の1が、国から補助されます。
■移住支援金・起業支援金
地方創生推進タイプのバリエーションとして、移住や起業の支援金があります。
移住支援金は、東京23区に居住あるいは通勤していた人が地方に移住する場合に、いくつかの要件を満たせば、1世帯あたり最大100万円、さらに子育て加算として子供ひとり当たり最大100万円の支援金が交付される事業です。自治体が移住者に支給する経費の2分の1を、国が補助する形です。
また、地方で起業する場合には、一定要件を満たせば、起業資金として、ひとり最大200万円が支給されます。
一番下の「優良モデル導入支援型(TYPE1)」が特徴的なので、少しご説明します。これは、地域の独自性は必要なく、すでにどこかの自治体が導入している取り組みのカタログの中から、自分たちの地域の課題に合うものを導入する場合、いわば横展開する場合に、その経費の2分の1が補助されるという仕組みです。たとえば、自治体の「書かない窓口」「地域アプリ」「遠隔医療」など、様々な取り組みが対象になります。
このデジタル実装タイプのバリエーションとして、「地方創生テレワーク型」もあります。地方でのサテライトオフィス整備や、都市部企業の当該オフィス利用、進出企業と地元企業の連携事業などを支援対象とするものです。
■地方創生推進タイプ/地方創生拠点整備タイプ
「地方創生推進タイプ」と「地方創生拠点整備タイプ」は、以前はそれぞれ単独の交付金でしたが、デジタル田園都市国家構想交付金の2つのタイプとして、概ねそのまま維持されました。
「地方創生推進タイプ」は、自治体の創意工夫を生かしたソフトな取り組みに対して、最長5年にわたり、経費の2分の1を補助するものです。分野は限定していません。将来自立できる取り組みか、官民協働や地域間連携がなされているか、などを評価して支援対象を決めます。
「地方創生拠点整備タイプ」は、ハード施設の整備に対し、2分の1補助するものです。以前は、自治体自らが整備する場合に限定されていましたが、令和4年度から民間事業者による施設整備を自治体が補助する場合も、補助対象になりました。例えば、移住や二地域居住のための住宅、シェアハウス、コミュニティセンター、地域の伝統文化の体験施設などを民間事業者が整備する場合に、自治体の補助経費の2分の1が、国から補助されます。
■移住支援金・起業支援金
地方創生推進タイプのバリエーションとして、移住や起業の支援金があります。
移住支援金は、東京23区に居住あるいは通勤していた人が地方に移住する場合に、いくつかの要件を満たせば、1世帯あたり最大100万円、さらに子育て加算として子供ひとり当たり最大100万円の支援金が交付される事業です。自治体が移住者に支給する経費の2分の1を、国が補助する形です。
また、地方で起業する場合には、一定要件を満たせば、起業資金として、ひとり最大200万円が支給されます。
4-2.Digi田(デジでん)甲子園
これは2022年にスタートしたイベントです。「デジタル技術で、地方のどんな課題がどう改善されるのか、よく分からない」という声に応じて、始まりました。
夏の甲子園と冬の甲子園があり、夏は公共団体対象、冬は民間企業などが対象。「甲子園」と銘打っていますが、高校生限定ではありません。
デジタルで地域課題解決に取り組む団体や企業を広く募集し、国民参加のインターネット投票と有識者審査で、優秀な取り組みを選び、総理が表彰します。
内閣官房の「Digi田甲子園」サイトに、投票対象の取り組みが各1分程度の動画にまとめられており、誰でも視聴できますので、ぜひ、ご覧になってください。
夏の甲子園と冬の甲子園があり、夏は公共団体対象、冬は民間企業などが対象。「甲子園」と銘打っていますが、高校生限定ではありません。
デジタルで地域課題解決に取り組む団体や企業を広く募集し、国民参加のインターネット投票と有識者審査で、優秀な取り組みを選び、総理が表彰します。
内閣官房の「Digi田甲子園」サイトに、投票対象の取り組みが各1分程度の動画にまとめられており、誰でも視聴できますので、ぜひ、ご覧になってください。
4-3.企業版ふるさと納税
地方公共団体が行う地方創生の取り組みに対し、企業が寄付した場合に、寄付金の最大9割まで法人関係税が控除されるという施策です。個人のふるさと納税ほどではありませんが、企業版も、金額、件数ともにかなり増えていて、自治体によっては年間10億円以上の寄付を集めたところも出てきました。
企業版ふるさと納税には、2020年に人材派遣型というタイプもできました。
企業が公共団体に派遣した人材が、地方で寄付活用事業に従事する場合は、その寄付金を人件費に充ててよいというものです。公共団体にとっては、人件費なしで企業人材を活用できる、企業にとっては、税の軽減に加えて地域貢献ができ、人材育成の機会にもなる、と両者にメリットがある制度であり、2022年度で30団体と広がりを見せています。
企業版ふるさと納税には、2020年に人材派遣型というタイプもできました。
企業が公共団体に派遣した人材が、地方で寄付活用事業に従事する場合は、その寄付金を人件費に充ててよいというものです。公共団体にとっては、人件費なしで企業人材を活用できる、企業にとっては、税の軽減に加えて地域貢献ができ、人材育成の機会にもなる、と両者にメリットがある制度であり、2022年度で30団体と広がりを見せています。
4-4.地方創生人材支援制度
地方創生人材支援制度は、総務省の地域おこし協力隊とは別に、内閣官房が主体となって、国家公務員、大学の研究者、民間企業の専門人材等を、地方公共団体の副市町村長やアドバイザーとして派遣する制度です。
民間企業の専門人材は、グリーン専門人材、デジタル専門人材などの枠で、予め登録していただいています。人件費は国家公務員の場合は地元負担。大学研究者・民間企業の場合は派遣元との協議で決めます。
毎年秋頃、地方公共団体から希望を募り、上手くマッチングすれば、4月に派遣するというサイクルで、すでに、357市町村に598人の方が派遣されています。
民間企業の専門人材は、グリーン専門人材、デジタル専門人材などの枠で、予め登録していただいています。人件費は国家公務員の場合は地元負担。大学研究者・民間企業の場合は派遣元との協議で決めます。
毎年秋頃、地方公共団体から希望を募り、上手くマッチングすれば、4月に派遣するというサイクルで、すでに、357市町村に598人の方が派遣されています。
4-5.地域経済分析システム(RESAS:リーサス)
地域経済分析システムは2015年からWebで無償提供されているシステムです。
地方創生を進める上で、地域の実態を正確に把握し、見える化することは非常に重要です。「人口」「地域経済循環」「産業構造」など、86のメニューがあり、各地域のデータ分析ができます。様々なグラフも簡単に作成できますし、周辺の同規模自治体との比較なども可能です。「RESAS Portal」のサイトでは、解説動画や、毎年行われている地域分析コンテストの様子なども見られます。
ぜひ一度、使ってみてください。
地方創生を進める上で、地域の実態を正確に把握し、見える化することは非常に重要です。「人口」「地域経済循環」「産業構造」など、86のメニューがあり、各地域のデータ分析ができます。様々なグラフも簡単に作成できますし、周辺の同規模自治体との比較なども可能です。「RESAS Portal」のサイトでは、解説動画や、毎年行われている地域分析コンテストの様子なども見られます。
ぜひ一度、使ってみてください。
5.おわりに
地方創生という課題には、住民、NPO、企業、自治体など様々な立場の方々が、各地域で、連携しながら取り組んでおられます。国もまた、今回ご説明したような多様な支援策を準備して一緒に取り組もうとしています。私のいた内閣官房の部署では、地方からご相談があれば丁寧に聞いて一緒に考え、一緒に取り組みを磨き上げていくスタンスでやっておりました。ぜひ、国の支援策も積極的に活用しながら、真の地方創生を進めていただきたいと思います。