地域おこし協力隊員になりたくてもなれない? 「地域要件」

 前回コラムで触れた「地域おこし協力隊」は、その地域の市役所・役場などで地域おこしをサポートしたり、農林水産業に従事したり、「地域協力活動」の範囲が柔軟なので、地域活性化人材の確保策として広く活用されています。総務省によると令和5年度の隊員数は全国で7,200名、北海道は最多の1,084名。単年度で数十名もの隊員を受け入れている自治体が幾つもあります。

 本制度はもともと都市地域から「条件不利地域」(過疎・山村・離島・半島・奄美・小笠原・沖縄)への移住を支援することを目的としています。隊員として数年間、地域おこしに従事することで、その地域の状況が良く分かりますし、地域の人々からも受け入れてもらいやすい。実際、隊員経験者の過半数は、任期終了後に定住しているようです。

 ただ、志さえあれば誰でも隊員になれるかというと、そうでもありません。今回コラムでは頭の体操のようにややこしい「地域おこし協力隊の地域要件」について紹介します。

 本制度には、「都市圏から地方部への人の流れを作る(原則Ⅰ)」及び「より条件が不利な地方部を支援する(原則Ⅱ)」という2つの原則があります。
 この原則からすると、過疎地に住んでいる人は「協力隊員として」他の過疎地へ転出することはできないことになります(引っ越すのは自由ですが)。言われてみればそうだろうと思いますが、「平成の市町村合併」で都市部と過疎の市町村が合併したため、都市地域と条件不利地域とが1つの自治体内に混在している例が多くて実にややこしい。例えば、政令指定都市の仙台市ですら過疎地域を含んだ「一部条件不利地域」。その地域内の居住者は仙台市民であっても協力隊員になることはできません。
 さらに、過疎地に該当しなくなった「卒業団体」であっても、過疎法の経過措置の適用を受けている間は、その住民は協力隊員になることができません。ウーム、北海道で函館市といえば、道南の中心都市なのですが・・・・・

 また、原則Ⅱ「より条件が不利な地方部」があることにより、受入れ自治体ごとに受入れ可能な隊員居住地の範囲が異なってきたりもするのです。

 「もういい加減にしてくれ」と言われそうなのでこの位で止めておきますが、ややこしかろうと何だろうと「地域要件確認表」(横方向が転出地(隊員希望者の住んでいる場所)、縦方向が転入地(受入自治体)のマトリクス)を確認しておく必要があるという話でした。(本コラム掲載時点の最新版は「令和4年4月1日現在」)